中日新聞「人生のページ」ご担当者様、代表取締役社長大島宇一郎様
長野県下伊那郡大鹿村大河原2208 宗像 充
お世話になります。私は単独親権違憲・違法の認定を司法に求めた国家賠償請求訴訟の原告で、10月13日と27日の貴紙「人生のページ」欄に上下2回で「親子の面会交流 共同親権で解消なるか」というタイトルの原稿を書かせていただきました。
2月2日と2月9日の「人生のページ欄」に弁護士の太田啓子氏が「誤解だらけの共同親権」というタイトルで寄稿しております。私は中日新聞に原稿依頼をされて何度も修正を求めた上で原稿を書いたため、その記載や根拠をまったく無視して太田氏が書いた原稿を中日新聞がそのまま掲載した経過に、相当にびっくりしました。そこで、質問という形で意見をさせていただきます。2月28日までに貴紙の真摯な回答を求めます。
1 10月13日の私の原稿では「日本で司法に訴えても面会交流の約束を取り付けられるのは5割。それも会える保障はない。」とあります。一方で、太田氏は2月2日の原稿で「面会調停・審判の運用において、家裁はよほどのことがなければ別居親と子の何らかの交流を命じている。認められないこともあるがその理由は個々の事案次第で、虐待DVが背景にあることもある」とあります。
私は「5割」という数字の根拠は中日新聞に説明しております。しかし太田氏は、何の根拠もなく先の見解を述べました。中日新聞も何の説明もしていません。これは私の見解を否定するために太田氏の主張を誌面化したと読者は受け止めかねません。かつ私は虐待やDVの加害者と読者が受け取っても私は抗弁ができません。中日新聞の意図はそういうものでしょうか。
2 対抗言論として、太田氏の原稿を中日新聞が掲載することはありえることですが、であれば、私の主張を踏まえ、それを引用する形で根拠を示しながら反論をするのが本来です。ところが私も紙面で触れたように、司法は私たちの訴訟で、婚姻外の親の「差別的取り扱いは合理的」と述べて、法制度や政策によって、非婚(離婚・未婚)のへの差別を公然と認めており、「その理由は個々の事案次第で、虐待DVが背景にあることもある」とする主張は当たりません。
この裁判は1月22日に上告棄却で確定し、太田氏の原稿が出るまで中日新聞は十分に取材する時間がありました。中日新聞はそれらについて自分で調べなかったのですか?
3 2月9日の太田氏の原稿において、協力できない元夫婦の共同親権が子の不利益になる根拠として「日本の離婚のほとんどは裁判所が関与しない協議離婚なので、共同親権にすべきではい事案を当事者が共同親権にしてしまうことについて専門家がチェックする仕組みがない」と述べています。
法制審議会の審議において、離婚時の養育時間の分担や養育費についての検討がなされました。その際、共同親権への民法改正を求める人たちは、それらの取り決めを養育計画として義務付けることを求め、共同親権に反対する人たちは離婚がしにくくなるという理由で、養育計画の義務化に反対しました。
中日新聞はそのような法制審の議論の経過については知らなかったのですか。
4 私は10月13日の原稿で「司法で情勢が親権を取る割合は94%に上る」と触れており、一方で、太田氏はそれはジェンダー平等の問題ではないと否定しています。中日新聞はこの現状に基づいて現状のように女性が親権を持ち続けるのは望ましいと考えて、この見解を私の見解の後にあえて載せたと考えてよいでしょうか。