実子誘拐・共同親権に関する公正報道を求める共同声明

2022年4月4日に公表しました。
この声明は、ライター・ジャーナリスト5名で呼びかけ、呼びかけ人含め156個人・団体が賛同しています。
賛同者からのメッセージ一覧は、添付しておりますのでご一読ください。

この問題については、海外からも大きな批判が寄せられています。日本のメディアが無関心で委縮したままの状態だと、報道機関として読者や視聴者から信用されなくなると危惧し、今回の声明を公表しました。

多くの方が、実子誘拐・共同親権に関するニュースを見たいと期待しています。


【実子誘拐・共同親権に関する公正報道を求める共同声明】

 2022年2月21日、警察庁は各都道府県警宛に「配偶者間における子の養育等を巡る事案に対する適切な対応について」という文書を出しました。
親による子どもの誘拐について、場合によっては刑事罰の対象になることを示した判例とともに、同居時からの連れ去り、及び別居親による連れ戻しについて、被害の届出について適切に対処するよう求める内容です。
日本以外の諸外国では、“child abduction”実子誘拐として処罰の対象になる行為が、日本では放置されてきました。
この現状の中で、先の警察庁通知の持つ意味は大きく、内容の是非の議論はあるにしても、夫婦間の関係が悪化した場合において、どのような対処が法的に規制されるうるかについての規範の変更ともなりうるものです。
しかしながら、国民生活において大きな影響を与えるこの通知について、一部のネットメディアを除いて、その存在を公にして報じた新聞社、放送局は現在まで見当たりません。
過去、実子誘拐や共同親権についての記事が掲載され、番組が放送されると、大量の苦情がメディア企業に寄せられ、その中でネット上の記事が削除されることも見られました。問題となる記事や番組は、男性が加害者、女性が被害者という従来の報道姿勢に挑戦するものです。
また先の通知に関して報じたネット記事が掲載されると(「AERA」朝日新聞発行)、修正されたことが記事中に明示されました。この記事に関して、詳細な正誤表がSNS上に出回り、記事を残すために言い回しまで忖度する編集サイドの姿勢がうかがい知れます。
これからの社会で、どのような制度や社会認識が作られていくのか、受け手が判断できるよう賛否両論についてメリット、デメリットを適切に報じ、さらにそこで出された論点の妥当性について評価しながら議論に資するのが、報道機関としての役割です。
にもかかわらず、ことこの問題については、苦情が来そうなので触れない、というイージーな判断を報道の公共性に優先する大手メディアの姿勢は明らかです。
このような姿勢が変わらなければ、公正な報道を続けようと奮闘するネットメディアの記事も孤立します。もはや報道機関全体が信用を失墜し、その役割を果たせなくなるのではないかと私たちは危惧しています。
社会にタブーを広げているのは、口封じのためにあなた方の会社に苦情を入れる人たちであり、同時に、マスメディアで働くあなたたち自身です。双方の主張の違いを人権侵害行為を報じない免罪符にしてはなりません。
私たちは新聞社や放送局が、男性を加害者としてのみ扱う報道姿勢を改め、実子誘拐や共同親権についての報道について、もっと積極的に取り上げることを求めます。
それは伝えるべきことを伝えるという本来報道に求められる役割にほかなりません。

【賛同者 156個人・団体】浅井果林・秋野隆博・新しい親子交流Promotion
Organization・浅井英之・天辰康介(会社員)・雨谷康弘(一般財団法人国際福祉人権研究財団副理事長)・安藤信明・飯野昇・生井栄治(自営業)・石井発雄(会社役員)・石井政之(ノンフィクション作家)・今井美奈(会社員)・織岡謙太郎・猪爪直樹(会社員)・稲坂将成(弁護士)・稲坂将成法律事務所・井上森(自立障害者介助者)・斎部サルマーン公司・上田ハル子・宇山祐明・江邑幸一(地方公務員)・おおしか家族相談・大鹿の十年先を変える会・大隈新吾(会社員・人材コンサルタント)・大橋達矢(会社員)・奥原聡志(会社員)・尾﨑全紀・尾崎保・長田政江・越智康二・小野寺淳・小畑徹宗・小畑ちさほ(フレンズ英語主宰)・親子交流促進協会・親子ネットNAGANO・笠牟田卓也(子供の父親)・門屋太郎(会社員)・角谷知泰(理事長)・カトリック高円寺教会正義と平和協議会・勝又美保(スクールカウンセラー)・金丸賢司・金丸宗・北埜弘也(一般人)・岸本佑(会社員)・北條康雄(公務員)・北野寛三・木村尚平(医師)・共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会・楠木奈奈・工藤裕加(パートタイマー)・来栖香(NPO法人パノラマ)・黒木一也・桑添泰嘉・古賀礼子(弁護士)・後藤堅治・後藤友基(息子2人を連れ去られた年下パパ)・後藤八重子(主婦)・小島太郎(合同会社小島事務所代表)・子育て改革のための共同親権プロジェクト・子どもに会いたい親の会・子どもの権利条約親子国賠・桜井裕也(会社員)・貞村英彰(行政書士)・佐々木真一・笹野将志・佐藤亘(会社員)・佐野浩史(子どもに会いたい親の会代表)・沢田建(会社員)・篠原昌史(子供に会いたい会社員)・島田英雄(会社員)・渋谷知樹(医療従事者)・新毅夫(会社員)・白井勇・鈴木愛美(連れ去られ経験者)・菅原正義(会社員)・杉藤孝・鈴木幸雄(会社員)・角拓夢(会社員)・関根康記(会社員)・添田岳秀(そえだデンタルクリニック
医院長)・高井学・高梨信也・高梨聖也(鎌倉FM放送局82.8番組パーソナリティー、犬訓練士)・高梨信子(主婦)・高橋喜寿・高橋雪・竹内英治(税理士)・竹田俊彦(システムエンジニア)・武美如(会社員)・田島秀人(会社員)・田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表理事)・
頼母木浩貴・辻智博・堤則昭(親子ネットNAGANO)・寺嶋幸子(主婦)・得永健・得永宣子(薬剤師)・豊福京子・豊福直(会社員)・豊福政之・中易まりの・中易道子・中易みのり・長島大介(会社員)・中島祐二(会社員)・中野淳介・奈佐誠司(一般財団法人国際福祉人権研究財団理事長)・難波広・難波宏隆(会社経営)・西牟田靖(ノンフィクション作家)・二宮潤一・二分野知恵(主婦・パート)・野村正人・Bae
Sung June(Mr.)・袴田達也(自営業)・長谷川一郎(自営業)・原田政彦(会社員)・東出まつり・樋口英明(会社員)・広野樹(別居親)・深澤隆浩(34歳男性)・フクタイサオ(自営業)・福田智行(自営業)・藤野悠樹(会社員)・藤原達也(会社員)・藤本由利子・船戸愛(フリーランスコピーライター)・堀内恵理子(会社員)・牧野佐千子(ジャーナリスト)・松岡弘樹(実子誘拐被害者)・松下時生(会社員)・松村直人(ITフリーランス)・松本直之・萬代光晴(会社員)・三浦のぞみ・三浦宏紀・三浦萌・
水谷元紀・水留勝弥(会社員)・密照樹(看護師・4人の父)・水野珠美(会社員)・水野法志(会社員)・宗像充(ライター)・モモカ行政書士事務所・百田系一(株式会社C.D.UNITED会長)・森口収規・森山政臣・柳澤淳・山岡達也・山本親広(介護施設経営)・山本直幸・横島秀昭(会社員)・吉賀哲郎(医師・庄原赤十字病院皮膚科部長)・吉田茂(保育士)・吉田常孝(精神科医師)・吉田文典・和田哲也(会社役員)


共同親権・実子誘拐への口封じに声をあげる賛同のお願い

このところ、共同親権や実子誘拐のテーマについて、報道機関に対し学者も含め口封じの圧力がかかっていて、新聞記事やテレビニュースにならない状況が続いています。
つきましては、声明文に多くの方のご賛同のお名前をいただくことで声を上げることを目的に、以下の内容で賛同を集めたいと思います。ご一読いただき、ご協力いただけますよう、よろしくお願いします。拡散歓迎です。

■賛同〆切 3月31日(木)
■賛同送付先 kuchifujino@gmail.com

ご賛同いただけます方は、以下の空欄に記載いただき、メール連絡先まで送付下さい。
個人、団体とも可です。お名前(団体名)と肩書を公表します。連絡先(メールまたは電話)は不明点の問い合わせのためです(公表はしません)。

いただいた賛同は、記者クラブほか報道各社に届けて記者発表するほか、呼びかけ人のサイト、SNS等で公表します。

お名前(or 団体名)
肩書
連絡先(メールまたは電話)

呼びかけ人
石井 政之(ノンフィクション作家)、田中 俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表理事)、西牟田 靖(ノンフィクション作家)、牧野
佐千子(ジャーナリスト)、宗像 充(ライター)

問い合わせ 0265-39-2067(宗像)*不在時は留守電に電話番号を残してください。


* * * * * 以下声明文案 * * * * *

実子誘拐・共同親権に関する公正報道を求める共同声明(案)

2022年2月21日、警察庁は各都道府県警宛に「配偶者間における子の養育等を巡る事案に対する適切な対応について」という文書を出しました。

親による子どもの誘拐について、場合によっては刑事罰の対象になることを示した判例とともに、同居時からの連れ去り、及び別居親による連れ戻しについて、被害の届出について適切に対処するよう求める内容です。

日本以外の諸外国では、“child abduction”実子誘拐として処罰の対象になる行為が、日本では放置されてきました。

この現状の中で、先の警察庁通知の持つ意味は大きく、内容の是非の議論はあるにしても、夫婦間の関係が悪化した場合において、どのような対処が法的に規制されるうるかについての規範の変更ともなりうるものです。

しかしながら、国民生活において大きな影響を与えるこの通知について、一部のネットメディアを除いて、その存在を公にして報じた新聞社、放送局は現在まで見当たりません。

過去、実子誘拐や共同親権についての記事が掲載され、番組が放送されると、大量の苦情がメディア企業に寄せられ、その中でネット上の記事が削除されることも見られました。問題となる記事や番組は、男性が加害者、女性が被害者という従来の報道姿勢に挑戦するものです。

また先の通知に関して報じたネット記事が掲載されると(「AERA」朝日新聞発行)、修正されたことが記事中に明示されました。この記事に関して、詳細な正誤表がSNS上に出回り、記事を残すために言い回しまで忖度する編集サイドの姿勢がうかがい知れます。

これからの社会で、どのような制度や社会認識が作られていくのか、受け手が判断できるよう賛否両論についてメリット、デメリットを適切に報じ、さらにそこで出された論点の妥当性について評価しながら議論に資するのが、報道機関としての役割です。

にもかかわらず、ことこの問題については、苦情が来そうなので触れない、というイージーな判断を報道の公共性に優先する大手メディアの姿勢は明らかです。

このような姿勢が変わらなければ、公正な報道を続けようと奮闘するネットメディアの記事も孤立します。もはや報道機関全体が信用を失墜し、その役割を果たせなくなるのではないかと私たちは危惧しています。

社会にタブーを広げているのは、口封じのためにあなた方の会社に苦情を入れる人たちであり、同時に、マスメディアで働くあなたたち自身です。双方の主張の違いを人権侵害行為を報じない免罪符にしてはなりません。

私たちは新聞社や放送局が、男性を加害者としてのみ扱う報道姿勢を改め、実子誘拐や共同親権についての報道について、もっと積極的に取り上げることを求めます。

それは伝えるべきことを伝えるという本来報道に求められる役割にほかなりません。

呼びかけ人
石井 政之(ノンフィクション作家)
田中 俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表理事)
西牟田 靖(ノンフィクション作家)
牧野 佐千子(ジャーナリスト)
宗像 充(ライター)

ガサガサしてみる

 大学の資料室から問い合わせがあって、『南アルプスの未来にリニアはいらない』を取り寄せたいという。大学の先生から購入依頼があったようだ。自費出版で出版社が倒産したので直接問い合わせが来る。あと5冊くらいしか手元にない。最近は死亡事故も起きて注目され、リニア関連の新刊も何冊か出ている。

 ぼくが大鹿村を取材で訪問したのが2012年。今年で10年目になる。出版を目指して原稿を書いてお蔵入りもあった。派手な反対運動もなく小頓挫は表に出ない。リニアに関心がある人も少なかった。おまけにぼくも有名じゃない。

 現地ルポは、ほかには樫田秀樹さんの本くらいしかない。研究者が調べものをするときに、参考にするということなのかもしれない。

 あまり売れない代わりにマニアには受けるのか、ニホンオオカミの本は、理系の大学の国語の入試問題になったことはある。そういえば、最初に出した立川反戦ビラの本は、出版当時は本を読んだ方から100万円が救援会に寄付されたというのもあった(ぼくの懐は変わらなかった)。もう20年も前の本だけど昨年はアメリカの研究者から写真の使用について問い合わせがあった。この本も出版社が倒産している。

 うちの父親は小学校の先生をしていて、若いころは山村の小さな学校に赴任することが多く、そのうち2校は生徒数の減少で閉校している。疫病神とは言わないけど、本を出してもらった出版社もぼくは2社が倒産している。「子どもは親の言うことは聞かないけど、親のするようにする」という。

 親が学校の先生をしていてよかったなと思ったことの一つは、学校の先生も間違えるし知らないことも多いということに早く気付いたことだ。わからないことを父親に聞いて答えられなかったことがあった。「学校の先生なのに」と悪態をつくと「学校の先生だって知らんことはある」と父は答えていた。

 そんなわけで、娘と2か月に1度会っていたときに、学校の話題が出たときには、「先生だって間違うことあるよ」「学校で教えることなんて目安だよ、目安」と教えておいた。娘は「目安って何」といぶかし気に聞いてきた。

「だいたいのところってこと。学校で教えているから正しいってことじゃない」

 経験の中でそのうち意味がわかるかもしれない。すくすくと育った娘は、親に反抗して会いに来ず、裁判所が用意した茶番の子ども代理人に、父親への悪態をしっかりついていた。

リニアのことを書いたところで、出版までたどり着くのが遠そうなので、昨年末にカワウソと共同親権の本を二冊出版した。カワウソは高知でテレビ番組になったりして本も出ているようだ。高知市の図書館では5冊入れたカワウソ本が全部貸し出し中になっているという。一方、長野県内の本屋で売っているのを見たことがない。長野県は教育県と呼ばれているけど教育は間違っている。

地方紙にしても、行政情報の垂れ流しの翼賛報道か、東京の識者のインタビュー記事だけのページ構成と極端だ。たまにリニアのことでコメントを求められることもある。紙面を見るとどう見ても長野県には珍しい「活動家枠」扱いになっている。自分のことを活動家と呼ぶ人もいるけど、ぼくに言わせれば活動家というのは、動きが多くてガサガサしている人のことしかイメージできない。間違ってないかも。

あと最近、プロ市民とか呼ばれることもある。政治は市民がするものだ。ぼくに言わせれば、金もらって政治活動しているのは政治家なんだから、こういう呼称は民衆の政治活動を「特別なことと」思わせる呼称だろうなと思う。

そういえば、南アルプス本も、大鹿村の郷土文化館からJR東海の室長の指示で教育長が撤去させた。毎日一社ずつ新聞に電話して教育長に電話させたけど、あのときは新聞記者も「たいへんなことですよね」と言いつつ、記事にはしてくれなかった。リニア関連の市民団体に声明を出してほしいとお願いしてもどこも応じてくれなかった。

表現の自由を特別な人のものとする感覚が、自分たちの表現の幅を狭めていく。というか、言論弾圧なんて大げさ、小さな村の出来事でしょう、という態度の長野県の新聞記者や編集者もいて、その感覚はJR東海や村役場と変わらない。愚痴ったところで生活は豊かにならないので「大鹿村公認禁書」として箔をつけて宣伝しやっと完売。

最近はインターネットで個人が発信するのも簡単になった。ぼくもカワウソ本と共同親権本を売るために、ツイッターを始めた。大鹿村を「悪政のふるさと大鹿村」「日本でもっとも美しくない村役場」として絶賛売り出し中。大鹿村は人口が1000人を切った。人が出ていくのはいたくない村の環境だからだと役場の人は気づいていない。

同じ南信州で椋鳩十の出身地の喬木村は、「椋文学の里」で売り出している。ぼくもいっぱい本を出して大鹿村を「反権力文学の里」で売り出そう。宗良親王とかななおさかきとか、先人には事欠かない。大鹿に移住するとその日から悪政とたたかえる特典付き。

共同親権本のほうは、原稿料じゃなくて現物支給だったし、メディアでの宣伝も期待できないので、がんばって自分で売る。リニアには反対してくれる、共産党や社民党、週刊金曜日も絶賛共同親権にも反対してくれる。リニアのことでは勇ましい共産党の本村伸子事務所にこの件で連絡すると、面談を拒否される。彼らの中には昔は「北朝鮮が拉致するなんてありえない」と言っていた人もいただろう。

国際的には日本は実子誘拐の拉致国家だと批判の嵐になっている。子どもに顔を見せたいだけの親が外圧を期待して国際社会に訴えている姿は、外から見ると滑稽だろう。

カワウソの取材の中でキャッチした河童のことを聞くために延岡に行く。彼の地ではひょーひょーという声で山を登っていくことからひょうすぼと呼ばれる。それはホイッスルのような声を出すカワウソのことではないのですか、と聞くと、「あんた河童を知らんのな」といかにも世間知らずのように馬鹿にされるのだ。

お年寄り3人に集まってもらって話を聞く。「対馬でもおじいさんが河童と相撲を取ったという方に出会いました」と言うと、「それはあるだろう」という顔で見返されるのだった。案内してくれた地元の郵便局の橋本多都也さんは、夜釣りでドボンドボンと何十発と石を水に投げ込んだような音を聞いていて、そうするとカワウソとも説明しにくい。

橋本さんに聞くと「比叡山の千日回峰行の修行をテレビで見ましたが、山の中での暮らしは感性も研ぎ澄まされるので、私たちには見えないものも見えるということかもしれません」という。そうすると、そういった話を迷信や科学的じゃないと馬鹿にすることこそが、無知蒙昧な気がしてきた。自分で知った範囲のことでしか物事を考えずに、それを他人に押し付けることを科学の進歩と呼んで、夢のリニアは進むようだ。

帰りに実家の大分県犬飼町の書店「書林」に本を置かせてもらえないかと頼みに行く。

「いいよ。奥付に大分出身ち書いちょるな。ポップもいっしょに送っちょくれ」

 店長は姉の同級生で、都会の書店で修業して戻ってきた直後は書籍も多かった。今は、昔はなかったパソコン教室の面積が増え、白髪の増えたおばちゃんの化粧品売り場はこじんまりと続き、最近は本は雑誌がメインで遠慮がちだ。なのにオオカミ本もいっしょに置いてくれるという。

大鹿では効かないつぶしだなとは思いつつも、大分に帰ったら帰ったで、大鹿のような目に遭う未来が見えないでもない。大分では「ガサゴ」と呼ばれていた。ガサガサして落ち着かない子どもはそう呼ばれる。

 大鹿に帰ると水道管は止めていたのに、蛇口が1つと風呂の薪をくべる釜が凍結で壊れていた。隣の豊丘村も含め、死傷事故を起こしたJR東海は、豊丘村での工事を再開するという。やれやれと思って、「書林」に送る本を荷造りする。

(「越路」 たらたらと読み切り166 、2022.1.28)

写真は馬を引きに来るカッパ除けの猿の手を掲げた馬屋

12月10日『共同親権』発売開始!

親子の引き離しの現実を共有する語りの建白書。

共同親権は離婚を経験した親子だけの問題ではない。夫婦別姓や婚外子、同性婚、養子縁組や虐待、相続についても、あらゆる家族の問題で共同親権をどうするかがテーマになる。

それは家族をめぐる個々人の希望がもはや一つではなく、そしてにもかかわらず多くの人が家族に希望を求めていることの裏返しだ。共同親権とともに変わる、社会と家族のあり方の今後を考えてみたい。