男にもっと稼げと言うだけで貧困問題は解決するか

信濃毎日に投稿して没になったもの

 「離婚後の養育費2万円増も」(12月23日)の記事を読んで違和感を抱いた。この記事では、「貧困解消『不十分』の声」として養育費を受給する同居親側の意見がもっぱら紹介され、支払う側の別居親の意見はない。

 ぼくは12年前に元妻と別れて、当初「子どもと会わせる」という約束を守ってもらえなかった。というと、「何かひどいことしたの」と思われるが、実際には約束を履行させる仕組みは弱く、「調停を申し立てた」ことが不履行の理由だった。子どもと二度と会えないかもという恐怖の中でも、調停・審判の2年半、ぼくは養育費を支払っていない。「会せないのに払うのか」と思ったし、元妻はすぐ再婚したので養育費は求められず支払い義務もなかった。数年後、2度目に子どもと引き離されて後、今度は元妻が振込先をなかなか教えず苦労した。養育における経済的な分担は義務だけでなく親としての権利だと知った。

貧困問題は格差の問題で、男性の費用負担の高額化に解決を求めれば、男女間の賃金格差を肯定する。それでは女性の社会的地位は高まらない。共同親権のもと、婚姻内外問わず、経済的にも養育時間の面でも、子育ての男女平等を目指すことが、本当の貧困解消の道筋でないか。

大鹿村 宗像 充(自営業・44)