子どもが病気かどうかも知らされない親たちがいます 「パパかママか」(単独親権)から「パパもママも」(共同親権)へ

◆コロナパニックのさ中に子どもの安否がわからない

 毎日新型コロナウィルスの感染拡大のニュースがテレビから流れている。学校は休みになって、仕事と子育ての間で悩む「ひとり親」の苦境が伝えられる。でも、こんな状況になっても自分の子どもの健康状態すら知ることができない親たちがいる。離婚や未婚で子どもと引き離された親たちだ。

 日本では子育てに両親が責任を負う「共同親権」は法律で「婚姻中」に限定されている。離婚や未婚の場合は、どちらか一方に親権を決めなければいけない(単独親権)。だから、親権をめぐっての子の奪い合いが生じ、会わせるともう一方の親に子どもがなついてしまうかもしれないという不安から、子どもを連れ去り囲い込む。

 その結果私たちは自分の子どもと引き離された。会わせるという約束があったのに守ってもらえず、子どもが成人したのに、子どもの住所までわからないという父親もいる。そうやって失われた子どもとの時を国に償わせるために、私たちは単独親権制度は違憲、制度を放置してきたのは違法と裁判を起こした。

◆国際社会から批判を受ける日本の家族法

 ドイツやイタリアは日本への渡航に注意を呼び掛けている。コロナウィルスのことじゃない。日本の「子連れ別居」はいまや“拉致”と国際的な批判を受けている。離婚したら母親が子どもを見るのが当たり前。男性は女性への配慮が足りなかったから、不仲で母親が子どもを連れて家を出て会わせないところで問題ない。そんな日本の「常識」は海外では犯罪とされている。

他人がしても親がしても誘拐は誘拐。他人が殴っても夫が殴っても暴力は暴力。ともに犯罪。共同親権に転換した多くの国では、人々が「別れた後の共同子育て」を暮らしの中で受け入れ、子どもは「パパの家」と「ママの家」を日常的に行き来している。国際離婚も増えてきたため、日本で子どもと引き離される外国籍の親たちも増えてきた。

いま、そういった国内拉致の是正圧力を海外から日本は受けている。EU議会で請願が審議され、議長は日本国内の拉致の横行に吐息をついた。

「とても21世紀の話とは思えない、17世紀の歴史書を読んでいるようだ」。

◆放置してきたのはなぜ? 婚姻外の親子関係を差別してきたから

国は引き離したのは元妻(夫)であって国ではない、と責任を逃れようとしている。水俣病もチッソが水銀が入った廃液を垂れ流したのを行政が見過ごし放置したことで被害が拡大した。コロナウィルスだって同じこと。国が単独親権という病理を放置してきたことが、おびただしい数の引き離された親子や、苦境にあえぐ「ひとり親」を量産してきた。「子どもがほしければちゃんと結婚して離婚するな」。私たちは一つの家族の形を強制されている。私たちのような親子が日々生まれるのは、婚姻外の家族関係を差別したが故の人災。あなたは一体どんな家族を生きていきたい?

(2020.3.17共同親権運動チラシから 宗像充)