『ニホンオオカミは消えたか』を出したことで、英字新聞から取材を受けた。
掲載されたのは2019年5月26日号で、ニホンオオカミについてのページを4ページも割いている。その中の一部に登場します。
何のための単独親権?
昨日は千葉に住む娘と会う前、日本家族再生センターのグループワークに参加した。日本家族再生センターは日本でメンズリブを始めた味沢道明さんがずっと継続しているもので、DVや家族の問題について、性別や加害被害で当事者をわけずに実施している。味沢さんとは国立で別居親の運動を始めて以来の知己で、ぼくもときどき参加している。
昨日は結婚や離婚率、婚外子の割合についての各国の比較について冒頭ミニ学習会があった。家族の問題も、社会の仕組みで影響されているので、それを無視して相手が悪い、と言っているだけじゃ問題は解決しない、という趣旨で、この問題意識は共同親権運動と共通する。
その中で、「単独親権がよくない」といっても、単独親権を存続させているのは何なのか、単独親権は何の役にたっているのかというのを考える必要があるのではないか、という参加者の発言があった。共同親権運動でも、この点については触れずに、単独親権が子どもの奪い合いを引き起こし、親子を引き離すからよくない、と言いさえすればよい、という意見が別居親の中からよく出る。
これは、引き離されたほうからすれば当たり前の意見ではあるのだけれど、制度の存続を願うほうからすれば、被害者が出ようがそれに勝るメリットがあれば、制度の存続は社会的に見れば是となる。したがって、この点について触れようとしなかった別居親たちの運動は成果を上げなかった。
味沢さんも少し触れていたが、その制度を支えた側にいて、自分が当事者になったら制度がよくない、と言ってもそれだけじゃ説得力がない。根本を変えようとする気がなかれば、制度も変わらない。だから、共同養育支援法の制定運動は失敗した。
単独親権制度は、家制度の存続にとって必須の制度だ。家制度とはつまり戸籍制度だ。戸籍は現在では父母子の単位で成り立つが、同姓の同じ籍に入っているものを日本の国民の最小単位として認定する。この枠組みから外れた人は、味沢さん曰く、「二級市民」のような扱いを受け、民法上も差別されてきた。
戸籍は徴税と徴兵のために設けられた国民支配のための制度だが、籍に入れること=福祉で、だから「子どもの福祉」が籍への所属とイコールとされてきた。これはいまも税制上の扶養などの優遇措置として残存している。この制度のもとで、福祉を家庭に押し付けて安上がりにして戦後は経済成長を成し遂げることもできた。こういった戸籍事務で食っている人は、法務関係の役人から福祉の現場まで隅々にまで及んでいて、その中にDVの被害者支援も含まれている。
戸籍は一夫一婦制の世帯単位が基本なので、離婚や婚外子の親など、登録の必要があるのに型にはまらない個人が出てきたときには、無理やり戸籍の形に当てはめようとする誘因が生じる。その際、両方が親権者で離婚した後の双方の親や、婚外子の親などが、親権を主張して正当性を主張しようとすれば、戸籍の型が壊れてしまう。壊れてしまえば、一級市民としての日本国民にだけ国家の承認という特権を与える(得る)ことができなくなってしまう。だから無理やりにでも戸籍の型に当てはまるように、離婚の場合は一方の親権を奪うか、未婚の場合はもともと一方が主張できないようにしておく(非嫡出子の親でも結婚すれば養父母として子どもを嫡出子にすることができる)。
いまのは性中立的に解説したが、親権者を持てないのが、女性、男性と変遷する過程はあるが、母系か父系かの違いはあっても家制度は家制度で、性差別的なことに変わりはない。つまるところ、家制度が本来の役割を果たすように機能するためには、単独親権制度は必要なのだ。
だから右派が連れ去り問題に着目して、引き離しの問題で発言しつつも、共同親権に対しては反対するようになったのは、当たり前と言えば当たり前だ。連れ去り問題は父親からの親権はく奪に行きつくので、子どもに対する権限が何もなくなる。連れ去られさえしなければ子どもは家のもののまま、ということにもなるので、最終的にはだったら離婚しなければいいじゃない、やっぱり「問題のある別居親」となって、この点は右も左も別に変わりはない。
なんてことを昨日一通り考えた。この後の展開も考えてるよ。
5月の松川交流会*日時注意
【日時】 2019年5月24日(金)
18:00~20:00
*今月は開催週、時間を変更しています。
【場所】 長野県松川町社会福祉協議会相談室 長野県下伊那郡松川町元大島2965-1 http://matsukawa-shakyo.net/info.html
参加費無料 直接会場にお越し下さい
お子さんに急に会えなくなってどうしていいかわからない方 周りに自身のことを話す方がいない方
裁判所やパートナー、元パートナーとのやりとりにお悩みの方
子どもと離れて暮らす親が 互いに気持ちや事情を話して 支え合い、 知恵を出し合う場です
会員でなくても参加できます。 主催 kネット 連絡先 0265-39-2116(担当・宗像) munakata@kyodosinken.com
家庭裁判所の劣化
「相場」の固定化
昨日は電話相談が1件。
妻による連れ去り別居後、子どもとは頻繁に会っていたのに、家庭裁判所での調停になった途端、月に1度を提示されたというもの。
こういう場合、弁護士が裁判所での「相場」を知っていて、月1回が裁判所では一般的と相談に来た母親側に教えるので、母親側が急に「余計に」会わせてやっている、という感覚になりやすい。社会の引き離し政策が、当事者どうしの関係を混乱させるよい事例だ。
こういった裁判所の前例踏襲の無責任な態度は、10年前から一貫している。当事者どうしが2週間に1回でよいと合意しているのに、月に1回が「子どもの福祉」と何の根拠もなく裁判所の相場を押しつけられたというひどい話も聞いた。最近では、「月に1度が裁判所の相場」と調停委員に言われたという話まで聞く。
たしかに月に1度は裁判所の「相場」だ。
ぼくは裁判所が「子どもの福祉」を無視し、性差別をして恥じない一例として、皮肉を込めて「相場」という言葉をあえて用いた。裁判所の姿勢を批判するためだ。ところが、昨年1年、「問題があるのは別居親」と、制度の問題ではなく個人の問題としてヘイトし、社会問題としての引き離し問題を否定するバックラッシュの言説が流通してきた。
建前放棄
そこで、「批判おそるるにたらず」と裁判所は、もはや「子どもの福祉」という建前すらかなぐり捨て、「相場」と言い放っても問題にならないと高を括っている。先日は、「女性が子どもを持つのがよい」とすでに否定されて久しいはずの、母性優先の原則、つまり性差別の発言をさいたま家裁で言われた、という相談者の体験談も聞いた。思わず、「まだそんなこと言っているんですか」と聞き返した。
「フレンドリーペアレント」も最高裁で否定されたから、と最近は裁判所でも耳を貸す気がないように感じる。これなども、個々の事例に合わせて決定を下す、というのが裁判所の役割であれば、最初から耳を貸さないなどありえない。そもそも2017年の東京高裁の判決でも「フレンドリーペアレント」が親権選択の判断基準として否定しているわけではない。
つまり裁判所が事例に応じた判断をしていない、という客観的証拠が、相談者の話を聞けば聞くほど積み重なってくる。
引き離しの手順
そもそも月に1度2時間、監視付きという決定が出された後、順調に面会が増えていく、という事例を、別居親支援の中でまず聞いたことがない。間接交流から直接交流へと当事者間でつないでいった事例も聞いたことがない。つまり犬に餌をやるような面会交流は、引き離ししてないよ、という裁判所の言い訳でしかない。
強制執行の間接強制はそれなりに効果がある。だけど最近では中学生くらいになると、「会いたくない」という「子どもの意思」が尊重され、不履行ではなく、「履行不能」となって強制執行を裁判所が放棄する。中学生になっての引き離しが横行しているし、引き離し側の弁護士もそれをクライアントに教えて子どもに「会いたくない」と言わせるようにクライアントに暗に(あからさまにも)指導する。
実際に、ぼくの娘は中学校に上がる前から「中学校になったら(会うのは)無理だから」と度々ぼくに言っていたし、母親側の弁護士(石川英夫、石川さやか)は、それを「子どもの意思」として錦の御旗のように主張し、面会交流がうまくいかなくなると無責任に辞任した。信じられないことにこの弁護士は、子どもの弁護士でもないのに、自分で子どもに事情聴取して、面会交流に前向きな子どもの発言を否定させている。こういった手口も離婚弁護士の中では流通している。もちろん、子どもの「会いたい」という意志が尊重されることなど裁判所ではない。
山を動かせ
もはや法改正か国賠提訴か、打開するには手がないかのように感じる。
しかしもちろん、現場での状況の打開の積み重ねが、「山を動かす」ことに通じる。これを軽視したのが、この間の親の権利運動の敗因の一つだ。
裁判所職員の人権侵害行為や性差別的な発言は、総務課や最高裁の人事課にきちんと実情を伝え、人を変えるよう求めたり状況の改善を促すのが重要だ。ひどい職員の事例は「家庭裁判所チェック」のほうで公開している(情報を寄せて下さい)。
何よりも、無責任な裁判所の連中に自分の子どもの運命を委ねていいのだろうか。
裁判所の決定は決定、自分の権利(子育て)は自分の権利、裁判所に認めてもらうようなものではもともとない。それを自覚した上で裁判所の門をくぐらないと、裁判所の善意に期待して裏切られて傷つくのは自分だ。
大鹿村騒動記・検閲編
ぼくが住む大鹿村にはコンビニはなく、隣町のコンビニまでは車で40分ほど。その代わり村役場のコピー機と輪転機を住民が使うことができていた。機械は職員が操作するので、版下を見られることさえ我慢すれば、料金は高めだが、天皇制の学習会チラシやリニア反対の会報をせっせと刷った
ある日役場に行くと、総務課長に呼び止められ、4月からコピー機と輪転機の使用をやめるという。もともと商工振興が目的だが、交通事情もよくなったしプリンターも普及したから取りやめた?
詳しく聞こうとすると「宗像さん、会費集めてやってるんでしょ。印刷所にもっていけばいい。個人的なものに役場の備品を使わせるって変と思わない?」という。
「ぼくがやってる活動はいろいろあるんです。どれのことでしょう」
「……」
「村に反対のもの印刷させるなってだれかに言われました」
「なんとも言えない」
わかりやすい検閲だった。騒動記の村役場に言論の自由を。
「反改憲」運動通信No.11(2019.4.26)
5月のくにたち別居親交流会はお休み
5月のくにたち別居親交流会はお休み
5月12日に予定しておりました、東京都国立市での別居親の交流会は、会場の都合によりお休みとさせていただきます。
あしからずご了承ください。
6月は9日開催予定です(追ってお知らせします)
ゴールデンウィーク中のお休みについて
おおしか家族相談では、スタッフ不在のため、4月26日~5月9日の期間、お休みをいたします。その間の問い合わせは電話、メールとも休止しておりますので、あしからずご了承ください。
ゴールデンウィーク中のお休みについて
上蔵は花盛り
ぼくの住む上蔵集落を上から撮影した。
今年は桜の花のもちがよかったため、その後に咲き始める花桃の開花と重なって、集落中が花で溢れている。今が見ごろ。見に来てね!
リニア中央アルプストンネル、はじまって200mで崩落
「もともとここには阿寺断層帯が走っている。条件が悪い場所だとはわかっていた。慎重にやった結果がこれ。環境影響評価書やJR東海の説明では大丈夫と言われてきたのに、実際にはそうはなっていない」
長野県南木曽町の町議会議員坂本満さんは、立ち入り禁止のロープが張られた竹やぶを見て呆れ顔だ。
4月8日、JR東海が建設中のリニア中央新幹線の建設現場の一つ、岐阜県中津川市山口でのトンネル掘削中に土砂崩落が生じた。現場は木曽川沿いの中津川市から天竜川沿いの長野県伊那谷へと至る中央アルプストンネル23・3kmの岐阜県側の工事個所だ。
坂本さんの住む南木曽町も、ここから延びる中央アルプストンネルが通過し、町内でも掘削工事が今後始まる予定だ。山口地区からは昨年11月から先行して掘削が始まった。完成すればリニア新幹線が通る本坑へと至る斜坑の掘削中に、入口から200m付近で崩落が起きた。
この部分の建設をJR東海から受託亥する鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)によれば、8日午前7時ごろに作業員が直径8m、深さ5mほどの陥没を確認。4日に斜坑内で小崩落が発生したため、斜坑内の復旧作業中だったとしている。
翌日の9日に坂本さんとともに現場に行くと、崩落個所のある竹やぶは、人家や田んぼが散在する道路脇にある。
崩落周辺では数人の作業員とミキサー車が立ち働いていた。現場の作業員の一人は、「トンネルから地上部までは20m弱。トンネル掘削では発破(火薬による爆破)も行っていた」と語った。鉄道・運輸機構は、「工事を止めて原因を調査中であり、復旧計画を検討中。崩落個所にはモルタルの打設工事を行っている」と現状を説明した。
「本坑トンネルはあの家の真下を通ります」
道を挟んで崩落個所のある竹やぶと反対側の人家を坂本さんが指した。今後も同様の事態が起きれば、次は竹やぶですまないかもしれない。近くを流れる前野沢では、作業員の一人が水位をじっと見守っていた。鉄道・運輸機構によれば、「水枯れなど周囲への影響は今のところ生じていない」という。
2027年の東京(品川)―名古屋間の開業を目指すリニア新幹線の路線286kmのうち八割は地下を通る。各地で関連工事も含めてトンネル工事が始まっている。しかし、すでに長野県では、大量の工事車両の通行のための道路改修工事のトンネル掘削中に、地表部で2017年12月、発破の振動によって崩落が生じた。また、名古屋市の名城非常口では、掘削作業中に地下水がわき出たため、昨年12月から工事が中断。作業は今秋に再開予定だ。
情報の公開の仕方も不透明だ。大鹿村では崩落で道路が通行止めになり、住民が2週間不便を強いられた。この事故原因について、筆者が長野県に情報公開請求すると、事前にトンネル内部で施工業者がクラックを認めていながら、工事の納期が迫った中、まさに崩落した個所の真下で火薬の量を倍にしていたことがわかった。このことを指摘する施工業者のレポートを、長野県は専門家による委員会で「特殊な地盤で予測が難しかった」とするJR東海の検討結果が了承を得るまで公表しなかった。
名古屋駅の非常口の地下水湧出がニュースになったのは4か月後だ。今回の崩落でも、8日に公表されるまで、4日の崩落発生から4日経っている。
「施工業者からすれば掘削の初期段階で崩落が起きたからまだよかったかもしれません。今後の工事はより慎重にはなるでしょう。でもこれじゃ泥縄。現場はたいへんでしょう」
建設現場での地質調査の仕事の経験もある坂本さんが首を振る。そして付け加えた。
「リニアによる地域活性化が語られがちですが、自然に対する謙虚さが本来建設工事には必要なのに、それがリニアには決定的に足りていない」
大鹿村の選挙、新規参入阻む個別訪問禁止の怪
「選挙中に個別訪問がされていましたよ」
筆者は2016年の秋から長野県大鹿村に住む。引っ越してきた年の冬、村が工事現場になるリニア中央新幹線の是非が争点になったこともあり、村長選挙が行なわれた。当時東京から越してきたばかりの筆者は、そのとき気づいたことを翌年の行政懇談会で手を挙げて発言した。その選挙で当選した村長と、当時選挙管理委員会の担当の元総務課長が並んで座っていた。
「ぼくは有権者が直接政策を知って深められる個別訪問はいいことだと思うんです。だけど公職選挙法では禁止されている。ルールを守った側が不利になるような状況はフェアじゃない。状況を打開するため、村が公職選挙法を改正する意見書を国に出したらどうでしょう」
村の集会所でぼくがした提案に、ひな壇の村の三役は、ばつが悪い表情でしどろもどろになっていた。
各地で地方議会議員のなり手不足が深刻な問題になっている。今回の統一地方選でも、長野県内の自治体では選挙にならなかった自治体が散見できた。そんな中、ここ大鹿村は1000人の自治体ながら、議員選挙は毎回成立している。今回も8人の定員に対して9人が立候補して5日間の選挙戦をたたかった。
さぞや賑やかになるのかと思いきや、選挙期間中、村内で一度も街頭演説を見ていない。2週間前の長野県議会選挙のときには村内を走っていた選挙カーも、村議会選では1台も見なかった。選挙掲示板には候補者のポスターが貼られているが、名前だけを大書した「質素」なものもある。にもかかわらず、先日の県議会議員選挙の投票率は79%で、同じ選挙区の他の自治体の中で一番高い。いったいどうやって選挙をしているのか謎だ。
村の選挙管理委員会は、投票日には数時間おきに、自治会ごとに置かれた投票所の投票数と投票率を発表して投票を促すし、選挙ごとに候補者による合同の立会演説会が公民館で開かれている。行政や候補者が以前から選挙への関心を高めようとしてきたこういった努力が、選挙への関心を高めているのはあるだろう。
一方で、候補者や各陣営のスタッフが個別訪問を行なっている場面が、村内の道路を車で走らせていると否応なく目に入ってくる。
「法律では禁止されているけど、村では個別訪問は普通に行われてきた」
村で生まれ育った男性(60代)は、先の村長選挙で個別訪問に気づいたぼくが尋ねると、そう説明した。ずっと慣例化してきたため、誰も選挙違反について指摘しないというのが実情らしい。先の男性も、今回の選挙期間中、個別訪問にやってきた数人の候補者の名前を挙げた。
しかしもちろん、候補者に対する事前の説明会では、個別訪問が禁止であることくらいは説明するはずだし、実際に先の懇談会で質問した際、前総務課長は「公職選挙法では違法」と、これは明確に答えていた。買収などの温床になるから規制されてきたのだろうか。
「個別訪問の禁止は本来新規参入を阻むためです」
地方自治に詳しい高知大学の岡田健一郎准教授(憲法学)はそう言って首を振る。
「個別訪問禁止の歴史は古い。もともと大正デモクラシーのときに男子普通選挙(1925年)が行われたときに遡ります。それまでは候補者も有権者も高額納税者だったのが、男性だったら誰でも投票できると規制緩和された。そうなると無産政党が伸びかねない。お金のない人の選挙手段は演説やビラ、個別訪問。自由だった選挙に規制が設けられていきます」
新人候補ほど摘発されないようルールに敏感なはずだが、ルールを守ると落選しかねないというジレンマに陥る。
「戦後初期の選挙は規制が緩和されました。しかし、もともと基盤のある既成政党は、保守革新問わず個別訪問をしなくても勝てる。規制には反対してきませんでした。結果、共産党が摘発され裁判になっていますが、最高裁は『不正の温床になる』と合憲判断をしています」
これでは原因と結果が逆だ。最近、SNSの利用などからなし崩し的に規制が緩和され、今回の統一地方選から都道府県と市区議会議員選挙でのビラ配布がおこなわれている。
「いい傾向だと思います。もともと個別訪問の禁止は他国ではなく、憲法21条の表現の自由に抵触して違憲だというのが、憲法学者の中では主流の意見です」
岡田さんも最近の規制緩和を歓迎する。
大鹿村では議員報酬は10万円だ。候補者にしてみれば、選挙カーや拡声器などに投資するのは費用対効果の面から割に合いそうにない。勢い、個別訪問は重要な手段ということになる。それで高投票率や候補者不足の解消になるのなら、大鹿村の選挙は「周回遅れのトップランナー」だと言えるかもしれない。
もっとも、それで当選した議員は「法令順守」とは言えないだろうけど。