養育費に悩んでます

新算定基準が親たちを苦しめる

 単独親権制度の撤廃を求めて国を訴えた、共同親権運動のホームページに養育費のピンハネ問題について声明文が載せたからか、相談やホットラインで養育費に関することについて問い合わせが増えた。

 DVに苦しんだシングルマザーが精神的に不安定になって虐待するといったような記事は少なくない。別居親のほうも、一様に家族と引き離されて不安定になっていたり、鬱状態になっていたりすることは多い。相手からはDVがある場合も少なくないけど、子どもとの引き離しは虐待だし、強いられた環境に不適応になるので、そうなるのは当たり前だ。男性の場合は支援も行き届かない。

 そんなわけで、仕事を続けられなくなって転職や休職をしたり、部署替えで給与を減らされたりすることも多い。そうなるとこれまでの養育費は支払えなくなるので、元妻(夫)と話したり、減額調停を裁判所に申し出て負担を軽くせざるをえない。双方が一時的な環境の変化によって子育てが困難になったら、国が児童扶養手当という形で母子(父子)世帯を支援することになる。

 ところが、昨年12月に最高裁判所が提示した新算定表で計算しなおすと、減額どころか増額になり、減額調停を取り下げる判断をせざるをえなくなったという話が入るようになった。ほかにも減額調停を申し出たほうがいいんでしょうかという相談を受けるのだけど、あらかじめ算定表で確認しないと、調停を申し出たばかりに負担が増えるということになりかねない。

 こういった相談が入る時点で、この新算定基準は失敗だったということがよくわかる。

入った相談は父親たちだった。彼らは払う意欲があるけど、負担が大きいので減額したいと言っている。別れた後も養育にかかわろうとするいい父親を虐待してどうするのだ。やがて意欲を失って支払わなくなったらどうする。

勃興する養育費産業

 そこで登場するのが、養育費ピンハネビジネスだ。すでにピンハネは子どもの権利侵害だという認識は広まりつつあるので、相談が入る。

 特に問題なのが、こういったビジネスが、元夫(妻)とのかかわりをもちたくない人をターゲットになされているところだ。特に相手との関係が面倒になって子どもを引き離し、そうなると父親(の場合)のほうも養育費を支払いたくなくなって滞る。そこで母親の側はスマホで手軽に申し込める徴収代行ビジネスにアクセスする。

 父親のほうは子どもと会えれば支払う意欲はあるのだから、徴収代行ビジネスの弁護士事務所から弁護士口座に振り込むように連絡が来ると、事情を話してその点についての元妻との話し合いを弁護士事務所のオペレーターに提案する。しかし、オペレーターは交渉事務は非弁行為になってできないので(すでにこの時点で非弁行為の可能性はある)、一方的にもともとある取り決めでの徴収業務に進むことになる。

 もともと支払えなければ自己破産も選択肢だけど、社会的信用は失う。しかし、自分の生活を犠牲にしてまでピンハネに協力するのは納得がいかない。

 ここで得をするのは誰だろう。

 父親から直接母親の口座に振り込むことができたなら、母親側は子どものためのお金を満額受け取り使うことができる。しかし父親は母親と話ができず、子どもと会えもしない状況では、そのお金がほんとうに子どものために使われたか不信を抱き、支払いを躊躇する。徴収代行ビジネスはこういった父親からも、もともとの取り決めに基づき取り立てることはできるだろう。子どもは父親への思慕を絶たれ、母親は受け取れるはずの養育費が目減りし、そして、徴収代行ビジネスは子どもが成人するまで毎月一定の額を手にすることができる。こんなおいしいビジネスやめられない。

母親側のマイナス感情から、こんな産業が成長しつつあるけれど、やってることは子どもと別居親の搾取だ。奴隷貿易と変わらない。